【最新版】不動産の相続登記が義務化された背景は?相続したくない場合の対処法を解説

相続について

瀬戸 繁貴

筆者 瀬戸 繁貴

不動産キャリア7年

不動産の相続登記が義務化された背景は?相続したくない場合の対処法を解説

以前は任意であった不動産の相続登記ですが、2024年4月1日からは義務化が開始しています。
登記をおこなわなかった場合の罰則もあるため、相続したくない場合には早めに不動産の処分方法を考えることが必要です。
そこで今回は、不動産の相続登記が義務化された背景と内容、相続したくない場合の対処法について解説します。

不動産の相続登記が義務化された背景

不動産の相続登記が義務化された背景

相続登記とは、亡くなった方の所有していた不動産の名義を相続人に変更することを指します。
相続登記は以前は任意とされていましたが、2024年4月1日から義務化されているため、注意が必要です。
ここでは、相続登記が義務化に至った背景について3つのポイントに分けて解説します。

背景①所有者不明土地の問題

所有者不明土地の増大は、現在国内で大きな社会問題となっています。
国土交通省の調査によると、所有者不明土地は国土の24%にのぼると推定されています。
所有者不明土地が発生する理由のひとつは、相続登記がおこなわれていないことです。
登記簿上の所有者が亡くなった方のままになっており、事実上の土地管理者がわからない状態になっている土地が多くあります。
所有者不明土地は、公共事業や復旧・復興事業の妨げやゴミの不法投棄、不法占有者などの問題にもつながっています。

背景②メガ共有地問題

メガ共有地とは、相続が数代にわたり続いた結果、不動産を共有する相続人の数が膨大になってしまっている状態を指します。
メガ共有地では、土地管理の責任の所在が不明確です。
数十人いる土地の共有者のうち誰も管理をおこなわず、火事や防犯上、衛生上問題がある状態のまま放置されている不動産もあります。
土地の利用については、共有者全員の同意が必要ですが、メガ共有地ですべての共有者と連絡を取ることは困難を極める場合があります。
誰からも使用されずに廃屋状態になったメガ共有地が多くみられることも、相続登記が義務化された背景のひとつです。

背景③相続人へのリスク

不動産の相続登記をしていない状態は、社会問題だけでなく相続人へのリスクも引き起こします。
上記のようにメガ共有地状態になると、改めて相続登記をおこなおうとした場合、手続きが困難になります。
不動産を売却する場合にも、すべての共有者の同意が必要となるため、連絡が取れない方がいるなどの理由で手続きが先に進まない可能性があるでしょう。
不動産の持分についてはそれぞれの共有者が権利を持つため、共有持分のみの売却や担保提供は可能です。
そのため、共有者のうち1人が借金を負っていた場合、持分が売却され、第三者が共有関係に入ってくる可能性もあります。
相続登記を後回しにすればするほど、状況は複雑化していくため、相続人にとってもリスクが大きくなるといえます。

不動産の相続登記義務化の内容

不動産の相続登記義務化の内容

不動産の相続登記義務化は、2024年に施行されたばかりの法律のため、内容を把握できていない方も多くいます。
相続した不動産がある方は内容を理解したうえで、不動産の扱いを検討する必要があるでしょう。
ここでは、法改正の内容と救済措置、罰則に分けて解説します。

法改正の内容

相続登記の申請義務化に当てはまるのは、相続人のうち不動産を相続した方です。
相続が発生した日から3年以内に相続登記をおこなうことが義務付けられています。
また、法改正以前の相続についても法律の施行日から3年以内、つまり2027年4月1日までに登記を完了することが求められています。
相続登記に加えて、2026年4月からは所有権登記名義人の氏名または名称、住所変更の登記の義務付けも始まる予定です。

救済措置

相続人のうち音信不通者がいたり、遺産分割協議がまとまらなかったりする場合には、相続から3年以内に登記をすることが困難なケースがあります。
相続登記の改正に伴い、このような場合の救済措置として、相続人申告登記の新設もおこなわれました。
相続人申告登記とは、相続の開始と自分が相続人である旨を法務局に申し出るだけで相続登記義務を履行できる制度です。
この申し出は相続人各人が単独におこなうものであり、遺産分割協議がまとまっていなくても自分自身の義務は履行することができます。
オンライン申請も可能で、簡単に義務を履行できるため、相続人の負担を軽減する制度といえます。
ただし、相続人申告登記は不動産の所有権を認めるものではない点に注意が必要です。
不動産の売却や担保提供をおこなう場合は、正式に相続登記をおこなう必要があります。

罰則

相続登記の義務化の法律には、罰則があります。
正当な理由がなく3年以内に相続登記をしなかった場合、10万円以下の過料が科されるため、注意が必要です。
正当な理由には、義務者に生命・心身の危害が及んでいることや経済的困窮にあることなどが例として挙げられますが、個々の事案に応じた判断がおこなわれます。
科された過料を支払わなかった場合は、不動産やその他の個人の財産が差し押さえられる可能性もあります。

不動産を相続したくない場合の対処法

不動産を相続したくない場合の対処法

田舎の空き家や用途の少ない土地などを相続した場合、管理や税金の負担のほうが重くなるケースもあるでしょう。
ここでは、不動産を相続したくない場合の3つの対処法を解説します。

相続放棄する

相続放棄は、借金なども含めたプラス・マイナスの相続財産すべてを受け継がずに放棄することです。
不動産だけの放棄を選択することはできず、他の財産もすべて放棄することになる点には注意が必要です。
相続放棄は、相続開始を知った日から3か月以内におこなう必要があります。
相続放棄をすると、他の相続人に税金や負債の返済義務が移ることになるため、事前に知らせておくと親切です。

不動産を売却する

不動産を相続した後で、すぐに売却し手放す選択肢もあります。
売却方法には、不動産会社を介して第三者の買い手を探す「仲介」と不動産会社が直接買い取る「買取」の2種類があります。
市場需要が高い不動産の場合は、市場相場と同程度もしくは高く売れる可能性の高い仲介がおすすめです。
一方、築年数の古い空き家や需要の少ないエリアの土地など、一般の買い手が見つかりにくい条件では買取を選ぶと良いでしょう。
相続した不動産を売却した場合には、税金が控除される特例などもあります。
不要な不動産を所有して管理費や固定資産税を払い続けるより、売却を選んだほうが経済的な負担を免れられるでしょう。

「相続土地国庫帰属制度」を活用する

相続登記の義務化の改正に伴い、新設されたのが「相続土地国庫帰属制度」です。
土地所有権を放棄し、国庫に帰属させる制度となっています。
相続放棄を選択する場合、不動産以外の財産もすべて放棄する必要があります。
一方で、相続土地国庫帰属制度を活用すれば、土地のみを手放すことが可能です。
この制度を利用できる土地には、建物がないことや境界線や所有権などの紛争がないことなどの条件が定められています。
また、10年分の管理費にあたる負担金を国に支払う必要もあります。
どの対処法にもメリット・デメリットがあるため、不動産の状態や個々の事情に合わせた方法を選ぶことがおすすめです。

まとめ

不動産の相続登記が義務化された背景には、所有者不明土地やメガ共有地の増大などの社会問題があります。
2024年の法改正の内容は、相続が発生した日から3年以内に相続登記をおこなうことを義務付けるものです。
不動産を相続したくない場合は、相続放棄や売却、相続土地国庫帰属制度の活用などを検討できるでしょう。


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