相続税の基礎控除について!負担を軽減する制度も解説

相続税の基礎控除について!負担を軽減する制度も解説

大切なご家族が亡くなり相続が発生した際、「自分のケースでは相続税がかかるのだろうか」「基礎控除額の正しい計算方法が分からない」と不安を抱えていませんか。
相続税の複雑な仕組みや法定相続人の数え方を理解しないまま手続きを進めると、不必要に多くの税金を納めて損をしたり、申告漏れによるトラブルが生じたりする恐れがあります。
本記事では、相続税の基礎控除の基本的な仕組みや算出時の注意点にくわえ、配偶者の税額軽減など基礎控除以外に税負担を減らせる控除枠について解説します。
大切な財産を少しでも多く手元に残し、損をしない円滑な相続手続きを進めたい方は、ぜひご参考になさってくださいね。

相続税の基礎控除とは

相続税の基礎控除とは

相続税の基礎控除の基本には、主に控除できる金額や対象となる財産の種類などがあります。
まずは、相続税の基礎控除とは何かについて、解説していきます。

基礎控除の仕組み

相続税は、被相続人から受け継いだ財産などから債務や葬式費用などを差し引いた課税価格の合計額が基礎控除額を超えた場合に、超過部分を基に計算される仕組みです。
基礎控除とは、課税価格の合計額から差し引ける非課税枠であり、範囲内に収まれば相続税はかからず、原則として申告も必要ありません。
一方、わずかでも上回ると原則として申告が必要になるため、財産と債務を漏れなく整理しておきましょう。
申告期限は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内となります。
なお、2015年1月1日以降は基礎控除額が引き下げられているので、以前の基準と混同しないことが大切です。
家族構成に応じた控除額を早めに算出し、手続きの要否を確認しましょう。

対象財産と評価額

相続財産には、現金や預貯金に加え、土地・建物などの不動産、株式、自動車、骨董品や絵画といった価値のあるものも含まれます。
また、被相続人の死亡により相続人が受け取る死亡保険金や死亡退職金は、一定の要件のもとでみなし相続財産として課税対象となるため、見落とさないようにしましょう。
ただし、それぞれ500万円×法定相続人の数まで非課税枠が設けられているのが特徴です。
一方、墓地や仏壇など日常礼拝に用いる財産には、原則として相続税がかかりません。
借り入れ金や未払い税金などの債務は、遺産総額から差し引くことが可能でしょう。
財産は死亡日の時価で評価し、土地は路線価方式または倍率方式、家屋は固定資産税評価額を使うのが一般的となります。

法定相続人と計算式

基礎控除額は、「3000万円+600万円×法定相続人の数」という計算式で算出します。
つまり、法定相続人が1人増えるごとに、非課税枠も600万円ずつ広がる仕組みです。
たとえば、2人なら4200万円、3人なら4800万円となり、この金額と正味の遺産額を比べます。
法定相続人には配偶者のほか、相続順位に応じて子ども、父母、兄弟姉妹などが含まれるでしょう。
ただし、計算に使うのは実際に財産を取得した人数ではなく、相続税法上の法定相続人の数です。
遺言で1人が全財産を受け取る場合も本来の法定相続人全員を数えるため、戸籍などを用いて、家族関係を必ず正確に確認しましょう。

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基礎控除額を計算する際の注意点

基礎控除額を計算する際の注意点

前章では、相続税の基礎控除の仕組みについて述べましたが、法定相続人の数え方には複雑なケースもあります。
ここでは、基礎控除額を算出するときの注意点について、解説していきます。

代襲相続人の数え方

代襲相続は、本来の相続人が被相続人より先に亡くなっていた場合などに、その子どもや孫が代わって財産を受け継ぐ制度です。
相続欠格や相続廃除によって相続権を失ったときも、直系卑属が代襲相続人になることがあります。
基礎控除額を計算する際は、元の相続人を1人とせず、実際に代襲する方の人数を数えましょう。
たとえば、先に亡くなった長男に子どもが3人おり、次男も相続人なら、法定相続人は合計4人となります。
その場合の基礎控除額は、3000万円+600万円×4人で5400万円でしょう。
ただし、相続放棄では代襲相続が生じないため、理由と対象者を区別して確認することが大切です。

養子の人数制限

民法上は養子の人数に制限がなく、養子が実子と同じ割合で遺産を相続する権利を持つのが原則です。
しかし、相続税の計算では法定相続人の意図的な水増しを防ぐため、基礎控除額に含められる養子の人数に上限が設けられています。
被相続人に実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までです。
たとえば、実子1人と養子3人がいても、税額計算では実子1人と養子1人の合計2人として扱われるでしょう。
一方、遺産分割では養子全員が実子と同じ相続権を持つため、税法上の扱いと混同しないでください。
なお、特別養子縁組の養子や、配偶者の実子で被相続人の養子となった方などは実子として扱われ、人数制限の対象外です。

相続放棄の扱い

相続放棄は、家庭裁判所で手続きをおこない、プラスの財産も借金などのマイナス財産も一切引き継がない制度です。
民法上、放棄した方は初めから相続人ではなかったものとして扱われます。
しかし、基礎控除額を求める際は、相続放棄がなかったものとして法定相続人の人数に含める決まりです。
そのため、一部の方が放棄しても、残る相続人に適用される基礎控除額は減りません。
配偶者と子ども2人のうち1人が放棄したケースでも、計算上は3人で、基礎控除額は4800万円となるでしょう。
なお、死亡保険金などの非課税枠では人数に含めるものの、放棄した本人は非課税枠を利用できない点に注意しましょう。

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基礎控除以外の負担軽減制度

基礎控除以外の負担軽減制度

ここまで、基礎控除額の計算に関する注意点を解説しましたが、基礎控除以外にも負担を減らせる制度はおさえておきましょう。
最後に、基礎控除以外の控除枠について、解説していきます。

配偶者の税額軽減

配偶者の税額軽減は、配偶者が実際に取得した正味の遺産額について、大きな非課税枠を設ける制度です。
1億6000万円と配偶者の法定相続分を比べ、いずれか多い金額までなら配偶者に相続税はかかりません。
たとえば、法定相続分が2億円なら、1億6000万円を超えても2億円までは非課税となります。
これは、夫婦で築いた財産への配慮と、残された配偶者の生活を支える目的によるものでしょう。
ただし、対象は婚姻届を提出した戸籍上の配偶者に限られ、事実婚や内縁関係には適用されない点が重要です。
なお、この特例によって税額が0円になる場合でも、税務署への申告が必要なので忘れないでください。

土地評価額の特例

小規模宅地等の特例は、被相続人が居住用や事業用に使っていた土地について、一定面積まで評価額を大きく減らせる制度です。
土地の評価額が高い場合でも、要件を満たせば課税価格を抑えやすくなります。
特定居住用宅地等は330㎡まで、特定事業用等宅地等は400㎡まで、80%減額される仕組みです。
また、アパートなどの貸付事業用宅地等は、200㎡まで50%の減額を受けられます。
たとえば、評価額5000万円、面積300㎡の自宅用地に80%減額を適用すると、課税価格は1000万円となるでしょう。
ただし、取得者や居住・保有の継続など細かな条件があり、税額が0円でも申告は欠かせません。

未成年者控除

未成年者控除は、財産を取得した法定相続人が18歳未満のときに、一定額を相続税額から差し引ける制度です。
控除額は「満18歳になるまでの年数×10万円」で計算し、1年未満の端数は切り上げます。
たとえば、15歳3か月なら18歳までの年数を3年として、30万円を差し引けるでしょう。
また、胎児も生きて生まれた場合は相続人となるため、未成年者控除の対象となり、控除額は180万円です。
なお、2022年4月1日以降の相続では、成年年齢の引き下げに伴って対象年齢が20歳未満から18歳未満へ変更されています。
本人の税額から引き切れない分は、親や祖父母など扶養義務者の相続税額から差し引くことが可能です。

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まとめ

相続税には基礎控除があり、3000万円と法定相続人1人につき600万円を足した非課税枠に遺産額が収まれば、原則として申告や納税は不要です。
基礎控除額を計算する際の法定相続人の数え方には、代襲相続の扱いや養子の人数制限、相続放棄をした場合の特例など、注意すべき複雑なルールがあります。
基礎控除以外にも、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例、未成年者控除などの負担を大幅に減らせる制度があるため、条件を満たすか確認しておくと良いでしょう。

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